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素人が高志の昔を探ってみる ~神代から古墳時代まで~

一部の神々は祭祀氏族の祖先が為した事績を持つ

天香山命と久比岐について考えるうえで重要な神社と地域を、弥彦から近い順に、敬称を略して記述する。


社名主祭神初代国造任命時期
弥彦神社 天香山 高志深江 素都乃奈美留 崇神[10]
天津神社並び奴奈川神社 瓊瓊杵並び奴奈川姫 久比岐 御戈命 崇神[10]
穂高神社 穂高見(宇都志日金拆) 科野 武五百建 崇神[10]
諏訪大社 建御名方 洲羽 武国彦 景行[12]
熱田神宮 草薙剣(?) 尾張 小止與 成務[13]
石上神宮 布都御魂剣(経津主) 椎根津彦 神武[1]
大和神社 倭大國魂
伊勢神宮 天照 紀伊 天道根 神武[1]
出雲大社 大国主 出雲 宇迦都久怒 崇神[10]
物部神社 宇摩志麻遅 石見 大屋古 崇神[10]

おそらく崇神天皇[10]の時代はまだ自然信仰が大勢を占めていた。
その土地に根差した原初の神であり、ヒトではないため事績を持たなかった。

日本書紀巻六・垂仁[11]では、
大水口宿祢の夢に現れた倭大國魂神の弁として「太初之時期曰 天照大神悉治天原 皇御孫尊專治葦原中國之八十魂神 我親治大地官者」と記す。
天地の開けはじめた時、天照大神が天原を、皇孫が葦原中国の八十魂神を、我は大地官の者を治めると決めたという。

倭大國魂神が治める「大地官」とは、原初の神を指すと推測する。

政(まつりごと)は祭事である。
国造の多くは、その土地に根差した自然神を祀った。

時代は下り、自らの祖先を敬う風潮になった。
そして祭祀氏族の祖先が、祭祀の対象である自然神と習合して神になった。
地域との結びつきが強い場合は「地主神」になった。
記紀が記す神々の事績のうちの幾らかは、祭祀氏族の祖先が為した事績だろう。

記紀が編纂された飛鳥時代、自然神と祖先神を習合する考え方は、まだ定着してなかったのではないか?
当時の人々のなかに、我々が祖先を祀るとして祖先が祀った神はどうなるのかと疑問を呈する向きがあり、それに対する答えが「大地官」ではなかろうか。
神になった祖先が祀った原初の神を敬い、その存在を大地官として記録に残したと考える。

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